東北楽天ゴールデンイーグルス 鈴木大地 選手

インタビュー)球活女子大生アンバサダーメンバー(柴村典花)
取材企画)球活女子大生アンバサダー(引田望月、梨子本朱里、薮田彩、時田貴美枝、柴村典花)

入団3年目ながらキャプテンに任命。2014年から4年間、キャプテンをまかされ、昨シーズンは選手会長に就任。まさしく千葉ロッテマリーンズの顔であった鈴木選手が、今シーズンから東北楽天ゴールデンイーグルスへ。真面目で律儀、そして熱い男、鈴木大地選手の野球への思い、新しいチームへの思い、鈴木選手の素直な思いを取材させていただきました。

柴村典花
(以下、柴村)
本日はよろしくお願い致します。早速、最初の質問ですが…始めて“野球をしたときの思い出”について教えて下さい
鈴木大地選手
(以下、鈴木選手)
野球一家とまでは言わないけれど、父と兄の影響を受けて、野球を始めました。いつから始めたか…気付いたら野球のボールを握って、バットもふっていました。いつのまにか野球を始めていた感じです
柴村
おそらく鈴木選手が幼稚園の頃から野球を始められていたんでしょうね?!
鈴木選手
実家に、僕の幼い頃の写真があるのですが、3歳の僕が既に野球のボールを持っていましたから(笑)。たぶん、その頃から野球はしていたと思います
柴村
野球を始められた頃、キャッチボールは、どなたと、どんなときにされていましたか?
鈴木選手
兄や父親と、よくキャッチボールはしていました
柴村
今でもお兄様やお父様とキャッチボールはされたりしていますか?
鈴木選手
はい、実家へ帰省したときなど、たまに父や兄とキャッチボールはしていますよ。僕も30歳になりましたが、こうして今でも、幼い頃を懐かしみながらキャッチボールができる関係というのは良いものだと思っています
柴村
鈴木選手、お子様はいらっしゃいますか?
鈴木選手
上から5歳、2歳、そして19年の4月に3人目が生まれました
柴村
でしたらお子様とキャッチボールをされていますか?
鈴木選手
全員、女の子なのですが…それでも5歳になる長女は、父親の仕事が何とかなく野球選手だってことはわかってきていて、遊び程度ではありますが家の中でボールを投げたりしていますよ
柴村
次の質問です。鈴木選手のグローブへの、こだわりについて教えて下さい
鈴木選手
グローブに関しては、周囲の選手の話しも聞いていますが、やはり細部までこだわっていることが多いですよね。僕の場合も、こまかい部分までミズノの担当者と話しをして決めています
柴村
鈴木選手の場合、これまで、いろいろなポジションを守る機会があったので、よりこだわりが多そうに思いますが?!
鈴木選手
その通りです。守っていて感じたこと、フィーリングという漠然としたこともミズノの担当者に伝えて、形にしてもらっています
柴村
そんなグローブの手入れをしながら“試合前に集中する”などされていますか?
鈴木選手
僕の場合、グローブやスパイクを試合後に手入れをしているのですが、その時間が“自分にとっての反省会”であり、とても大切な時間にしています
柴村
その大切な時間は、やはりお一人だけの場合が多いですか?
鈴木選手
そうですね、自分だけで集中して、というときもありますが…チームメイトと話すときもありますよ。試合結果が良くても、悪くても、チームメイトと意思疎通をして“よし、明日も頑張ろう”としています。いろいろな意味で、気持ちをリセットするにも大切な時間かもしれません
柴村
鈴木選手の場合、試合当日、必ずされること、例えば“必ず●●を食べる”などありましたら教えてください
鈴木選手
試合当日、ホームゲームの場合、必ずバッティング練習をする…その練習前、いつも同じ感じの食事がでるのですが、それを食べていました
柴村
打率が良かった試合の翌日“そういえば昨日、蕎麦を食べたら調子が良かった”ということで、翌日も蕎麦にしようかな、とかありますか?
鈴木選手
それはありますね(笑)。逆に試合に負けた翌日は“そういえば昨日は醤油ラーメンだったから、今日は味噌ラーメンに”という感じです。験を担ぐわけではないけれど…試合で調子が良いと、ついつい毎日、同じものを食べているかも(笑)
柴村
試合で調子が良かったとき、守備や打撃が良かったとき、ご自身への“ご褒美”的なものはありますか?
鈴木選手
う~ん、ご褒美とかないかな。というのも試合が、ほぼ毎日あるので、あまり一喜一憂できないというのもあるんです。先程、試合後にチームメイトと反省会的なことをすると話しましたが、その反省会が終わったら、気持ちは次の試合にむかっているので
柴村
ではシーズンが終わって、今年は自分なりに頑張れたな、とか思える内容であれば、ご家族と一緒に何かされたりという感じですか?
鈴木選手
それはありますね。家族と旅行に行ったり、そういうことをしています
柴村
バッティングが好調のとき、その好調さを維持するためにされていることは?
鈴木選手
おっ~面白い質問(笑)。打撃が好調なときって、もちろん維持したいんだけど…意識をし過ぎてもダメかなというのもあるし。だから個人的に気をつけているのが、好調なときは“好調なときの動画を見ない”と決めています。確認のために多少は見ているけれども…例えばホームランを打ったら嬉しいから、ついつい何度も見たくなる…でも見ないようにしています
柴村
それは、やはり良い状態の自分を追い過ぎてしまうのを回避するような感じですか?
鈴木選手
そう、その表現が正しいかな。1年を通して、調子が良いときって実は少ないんですよ。逆に“調子が悪いときを短くしようと努力している”ので
柴村
ちなみに調子が悪くなったとき、鈴木選手が調子が良かったときの動画を見たりしていますか?
鈴木選手
します、します。あくまでも調子が良いときの動画は、調子が悪いかな、そう思ったときだけ見ています
柴村
バッティングなどの調子が悪いとき、他にされていることはありますか?
鈴木選手
どうだろう、ダメでも毎日の流れのようなものがあって…練習の流れなどは変えないようにしていますね。とは言え、試合中にふと“バットの色を変えてみよう”というのはあります
柴村
シーズン中、野球以外で、楽しみにされていることは?
鈴木選手
シーズン中はどうしても“家族と一緒に”過ごしたくても、思うようにはいかないんです。だからこそ、できる限り家族と一緒にいることを楽しみにしています
柴村
鈴木選手が子煩悩で、ご家族を大切にされていること、質問に答えている鈴木選手の表情を見ていてもわかります
鈴木選手
そうかな(笑)。でも家族との時間は、本当に大切です。美味しい食事をすることが好きな家族なので、シーズン中はそういう時間も大切にしています
柴村
さて昨年末、千葉ロッテマリーンズから東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍されました。かなり悩まれての移籍だと思います。そんな東北楽天ゴールデンイーグルスでの、鈴木選手の役割は何だと思われますか?
鈴木選手
今までやってきたことがゼロになるとは思っていません。新しいチームに入り、スタッフの皆さん、監督・コーチ、そして選手全員とコミュニケーションをとりながら、みなさんが考えていること、思いを感じた上で足並みをそろえて、自分のできる最大のパフォーマンスをしたいと思っています
柴村
まずは新しいチームの皆さんとコミュニケーションをとりながら、ご自身のやるべきことをやっていきたいということですね
鈴木選手
そうです、自分の心内には“おぼろげながら、こうしてみようかな”というのがありますが、まずは新しいチーム全員とコミュニケーションをとること、そしてイーグルスの一員になることを優先させたいです。その上でポイントごとに、自分の役割をしていけたらいいですね
柴村
最後の質問です。鈴木選手に関するいろいろな資料を読ませて頂いたのですが、その中で、鈴木選手がドラフト会議後“グランド内で常に全力で走ること、大きな声を出すことは誰にも負けない”と言われたことを知り感動したのですが…その思いは、今でも変わりませんか?
鈴木選手
確かにドラフト会議後、そう話したことを覚えています。その話しをしたことを忘れそうになるときもありますが、これは忘れてはならないことだと思っています。このことは親から教えてもらったことなのですが、プロだから、そうじゃないから、ということではなくて、自分として変えてはいけない部分だと思っています
柴村
いつも鈴木選手が全力で試合、そして練習でも一生懸命に取り組まれていることは、球場などで見ていたので…
鈴木選手
ありがとう。あと何年、プロ野球選手として活躍できるかわかりませんが、この初心は忘れてはならないと思っています
柴村
これからも“常に全力で走ること、大きな声を出す”一生懸命に野球へ取り組む鈴木選手を応援しています
鈴木選手
そう言ってもらえると嬉しいです。ファンのみなさん、小さなお子さんに対しても、野球に対して一生懸命に取り組むスタンスも見てもらえるようにがんばります

【編集後記】

インタビュールームに入るなり「本日はよろしくお願いします」と鈴木選手の大きな声での挨拶から取材がスタートした。インタビュー中も、言葉を選びながら一生懸命に言葉を紡ぎ出してくださった。“取材のときも野球のとき同様に一生懸命なんですね”と聞くと鈴木選手は「常に全力でいたい、そんな性格なのかも(笑)」と照れながら一言。常に影日向なく、そのスタンスであるからこそ、千葉ロッテマリーンズでもキャプテンをまかされチームを牽引していたと思う。東北楽天ゴールデンイーグルス 三木監督は「内野のリーダーとしてチームをけん引して欲しい」と期待するコメントを出されましたが、鈴木選手のプレイ以外の“常に全力”そのスタンスがチームに蔓延すると、今シーズンの東北楽天ゴールデンイーグルス、そして鈴木選手の活躍は相当になると感じたインタビューでした。

【PLAYER’S PROFILE】

東北楽天ゴールデンイーグルス
鈴木 大地(すずき だいち)
背番号7/内野手
1989年8月18日生まれ。
身長175 cm、体重79 kg、静岡県出身。
右投左打。
東洋大卒 2011年 ドラフト3位指名を受け千葉ロッテマリーンズへ入団。
国内FA権の行使により東北楽天ゴールデンイーグルス。