【Excellent Store】 マエハラスポーツ

左から) マエハラスポーツ・天野桂吾 専務取締役、柴村典花(※撮影時のみマスクを外しています)

取材・撮影)球活アンバサダーメンバー(柴村典花、梨子本朱里、ショウエミリ、薮田彩、佐藤実桜)

JR津田沼駅より徒歩約10分、地元の方から“マエスポ”の愛称で呼ばれている創業1978年のマエハラスポーツ。
当初、スポーツ総合ショップであったが、時代の変化と共に“野球用品専門店”となってからも地域から愛される人気ショップとなっている。知識豊富な店員さんが多いことはもちろん、一般の野球用品店舗では見かけない“ここでしか買えないもの”の品揃えの多さ、更にユーザーサービスを考えたすごいモノまで置いてあるとの噂を聞き、早速、同店舗 マエハラスポーツ・天野桂吾 専務取締役にインタビューさせていただきました。

柴村典花
(以下、柴村)
本日は宜しくお願いいたします。まず最初の質問です。1978年4月、創業されたと聞きましたが? 最初から野球用品の専門店だったのでしょうか?
天野桂吾さん
(以下、天野さん)
父が創業したときは、スポーツ全般を取り扱う店でした。店舗の場所は同じだったのですが、店舗面積はもう少し小さかったんです。
柴村
では野球用品を取り扱う専門店になられたのは、いつ頃からですか?
天野さん
平成10年頃だったと思います。その頃というのは、街のあちこちに(スポーツ用品を取り扱う)大型店の出店が相次いでいたんですよ。このまま総合でやっていたらダメになると思って。
柴村
それで野球に特化されたんですね?
天野さん
そうです。野球というのはアイテム数も多いですし、何より、当時から“野球”は国内で一番人気のスポーツでもありましたら。
柴村
当時と比べてユーザー層も少しづつ変わってきたと思うのですが?
天野さん
長年、地域の子供たちやご家族がユーザーであり、あとは店舗周辺の小学校、中学校、高校、大学も取引先になっています。チーム数でいうと約400チームほどですね。
柴村
各学校の野球部、ソフトボール部がこちらのお店を頼っているんですね。あとこちらの店舗様の場合、品揃えが凄いですよね? 棚壁面、上下左右一面に各種用品がキレイにディスプレイされていて圧巻です。
天野さん
アイテムの品揃えの多さはかなり充実していると思います。グラブの在庫数が約800個、バットの在庫数が約400本ほどになります。
柴村
私の周囲で野球をやっている人に聞くと、野球用品専門店さんの場合、やはり品数と種類の豊富なショップさんが人気だと聞きます。
天野さん
せっかく店舗にきてもらったのですから、お客様の好みに合うものを少しでも揃えておきたいというのがあります。あとスポーツ用品の場合、特に野球用品は実際にグラブを手にしてみたり、バットもふってみないと自分に合うのか? わからないという部分もあるので品揃えは大切にしています。
柴村
だから店舗の奥に、バットのスイングができるスペースも用意されているんですね。そのスペースで、実際にお客様がいろいろなバットを素振りしてみて、自分に合う1本を選べるんですね。
天野さん
ショップのリニューアルのときに、こういう施設も整えました。
柴村
あと一般のスポーツショップと明らかに異なるのが…店舗に大きなミシンや、ユニフォームへのマーク加工などの機械が豊富にあることですね。
天野さん
ユニフォームへのネーム刺繍、あと好きな言葉を刺繍するユーザーさんが増えたので、できるだけそういうユーザーさんの求めるクオリティーを追求しながら、少しでも早く完成させて届けたいとのことから専用ミシンも5台以上を自社で持っているんです。
柴村
ユーザーの方が刺繍の様子を見ることができるように、レジ横にも専用ミシンがありますし、あとショップの2階にもかなり大きなミシンなどもありますね。
天野さん
専用ミシンをこれだけ保有することで、バッティング手袋やウェアなどを購入された上で、(ネーム)刺繍を希望されるお客様には刺繍を入れた状態の商品を、当日中に持って帰っていただけることも可能にしました。
柴村
ユニフォームへの刺繍だけではなく、グラブにも刺繍をしてもらえるんですよね?
天野さん
はい、こういう感じで(実際にグラブへ刺繍したサンプル多数)刺繍できます。
柴村
プロ野球選手でも、グラブの手を入れる部分に刺繍を入れている選手が増えたので、お客様から同じ感じで刺繍を入れて欲しいとの要望も増えたのでは?
天野さん
増えました。話題の選手などもグラブの外側だけではなく、内側にも刺繍を入れるようになったので。
柴村
このようにグラブの内側へ刺繍する場合、通常はメーカーに依頼して完成まで、1か月ほど時間がかかるそうですが。
天野さん
うちの場合だと、4~5日ほどで完成させています。
柴村
えっ、早いですね。グラブの内側に刺繍するには、グラブを一旦、丁寧に分解する必要があるので時間がかかると聞いたことがあります。こちらの店舗では既製品をキレイに分解、そして刺繍後にグラブを組みなおせる技術があるので、より早く完成できるんですね。そういう熟練の技術も、店舗スタッフさんができてしまうってことなんですね?
天野さん
はい、そういう特殊な技術にたけたスタッフがいるからこそ、お客様をお待たせしないで対応ができていると思います。
柴村
あとレジ横に、かなり迫力のある機械がありますけど…あれがレーザー加工機ですか?バットにも彫刻ができると聞いたのですが。
天野さん
そうです。レーザー加工機なんですけど、ユニフォームへの刺繍感覚でバットなどにネーム入れ等ができる機械になります。
柴村
すごい値段がしそうな機械ですね?
天野さん
そうなんです、すごい値段がしました(笑)。でもネーム入れだけではなく、言葉を入れたり、よりオリジナルのある1点ものにできるので導入しました。あと革にも加工ができるので…試しに、柴村さんの名前を革に加工してみますね。
柴村
ありがとうございます。
天野さん
まず名前を専用のパソコンに入力、次にレーザー加工機にレーザー加工する対象物をセットするだけです。
柴村
本当に短時間で完成するんですね。仕上がりも良くて感動です。
天野さん
こうした刺繍、マーキング、レーザー加工など単に商品を販売するだけではなく“付加価値をつけてお客様にお届けしたい”というのも当店の特徴の1つです。
柴村
こちらの店舗様のある千葉県は、野球が大変盛んな地域だと聞いています。そうすると、野球用具のトラブルの件数も多いのでは?
天野さん
確かに、多いですね。例えば紐が切れた、生地や革に穴があいたとか…各種、いろいろな用品トラブルや相談が多いです。そうしたトラブルへの対応も、できる限り対応させていただきながら、早くお戻しができるようにしています。
柴村
先程のグラブへの刺繍などもそうでしたが、こういう困ったことに、即対応できることもショップとしての特徴だと思います。
天野さん
トラブル対応はお客様からの要望も多かったので、何とかしたいと思っていました。
柴村
刺繍やレーザー加工、そしてスパイク破れの修理やグラブ紐交換などのトラブル対応までも、これだけ幅広くこちらの店舗で完結できるって、すごいですね。
天野さん
野球経験者が多いこと、さらに入社と同時に各技術のレクチャーも徹底しているので。
店長の糸賀崇さん
店舗スタッフの森大樹さん
柴村
ちなみに天野さんも野球経験者ですか?
天野さん
はい、高校まで部活で野球をしていました。私が野球を始めた頃というのは、本当に、誰もが野球をするという感じだったんです。当時、巨人の試合なども観ていました。中畑選手、篠塚選手などが好きでした。そういう選手への憧れもあって野球をやっているうちに、面白くなっていき、のめり込んでいきました。
柴村
一番最初は地元の野球チームに入って始めていたんですか?
天野さん
小学校3年生の頃だったと思いますが、地元の少年野球チームに入りました。
柴村
お父様とキャッチボールをされたりも?
天野さん
小学生の頃までは、よくキャッチボールをしていましたよ。
柴村
弟さんもいらっしゃるんですよね?
天野さん
2歳年下の弟なんですが、同じ野球チームに入っていました。そして普段から一緒にキャッチボールもしていました。
柴村
高校時代のときなど、学生時代は野球漬けの毎日でしたか?
天野さん
今どきの高校野球って、随分とソフトな感じになりましたけど、当時はまあまあ練習も厳しかったりもしました。練習も週7日、オフとかなかったですから。それでも上手になってみたいとの思いもあって野球にうちこんでいました。
柴村
やはりお父様の仕事柄、野球用具の手入れなど、一生懸命されていたのでは?
天野さん
もちろん、ちゃんと手入れはしていました。先輩から手入れの方法とか教えてもらいながら。父親からは、用具の手入れ方法とか言われませんでしたね(笑)。でも、やはり父親の仕事は見ていましたから、野球用品は大切にしなくては、そういう思いは強くありましたよ。
柴村
そういう思いが、野球用品1つ1つへの知識や、品揃えの多さだけではなくクオリティーの高い商品が多いことにつながっていると思います。
天野さん
そう言ってもらえると嬉しいです。ちなみに、ここまで品揃えが増えた要因が他にもあって…SNSでいろいろな用品がアップされると、そのアイテムが話題になり店舗で見たいというお客様が増えてきたこともあるんです。
柴村
SNS上で、これまで取引のなかったメーカーから売り込みとかもあるのでは?
天野さん
そうなんです、そういうケースも増えてきましたね。昔では考えられないですけど…でも私たちも興味があるので、良さそうな用品はできる限り店舗に置かせてもらっています。あとユーザーの方からDMが届いたり、リクエストも増えています。そういう内容を読ませてもらって、良い商品であれば検討してもいます。実際、そういう要望で置いた商品として…例えばアンダーシャツのカラーバリエーションを増やしたりもしました。
柴村
お店のTwitterも見せていただきました。天野さんの野球への思いや、個性的な内容なども面白いですよね。
天野さん
ありがとうございます。どんな新商品が入荷したとか、そういう情報の他にも、各商品の特徴とかを、少しでもわかりやすく配信していきたいと思っています。
柴村
ともかく他のショップにはおいていない商品が多いこと、品揃えに優れてもいるので、ユーザーの方はSNSを見ることも、店舗を訪れることも楽しみだと思います。
天野さん
私が学生の頃にはなかった、ホワイトのスパイクや、ベージュのグローブなどユーザーの反応も見ながら、より良いモノを数多くそろえてもいきたいですね。もちろんレーザー加工機など、うちの店舗の特色もいかしたサービス展開もしていきます。
柴村
こういうワクワクできるショップさんがあることが、私も嬉しいです。本日は取材させて頂いて、ありがとうございました。
同店舗で購入したグラブを無料で“グラブほぐし”というサービスを実施。オススメはグラブの型付け“匠仕上げ(有料)”で革や紐を柔らかくしてお客様に合ったグラブ型にカスタム仕上げしてくれます。
同店舗のシンボル的なオブジェ“ビッグ・バット”が店舗向かって左側に。「私の身長と比べてみても、どれだけ巨大かわかりますよね。ディテールもしっかりしていて、この前で記念撮影をする方も多いそうです」。このオブジェの中には、お客様の安全、そして野球が上達するようにと願いを込めた祈祷木札が奉納されているそうです。
マエハラスポーツ・天野桂吾 専務取締役。グラブの匠としても腕をふるっている。

【Shop information】

マエハラスポーツ
■住所/ 千葉県船橋市前原西7-1-21 ■TEL/ 047-477-1762
■定休日/ 水曜日
■営業時間/ 3月~10月:10:00〜20:00 11月~2月:10:00〜19:00
■マエハラスポーツ/オフィシャルHP/ http://www.maesupo.com/
■Twitterアカウント/ @maehara898

取材:2021年12月