柴村典花(以下、柴村)
本日はよろしくお願い致します。まず高橋選手“パ・リーグ 新人王”おめでとうございます
高橋礼選手(以下、高橋選手)
昨シーズンは、野手の援護にも恵まれ、冒頭から勝ち星を重ねることができました
柴村
プロ2年目となった昨シーズン、23試合、先発として投げ、12勝をマーク。本当に見ていて凄かったです
高橋選手
1勝目をあげてから、自信をもって投げることができました。その結果として新人賞もいただけて嬉しいです
柴村
今や球界を代表するエースと呼ばれるまでになった高橋選手ですが、野球を始めた頃の思い出について教えて下さい
高橋選手
最初は母の影響でソフトボールを始めたんです。小学生になるのと同時に子供会に入り、その会では男の子はソフトボールをやっていたんです
柴村
野球ではなく、ソフトボールからだったんですね?!
高橋選手
そうなんです。小学校1年生の5月か6月頃だったと思いますが、ともかくボールを投げたり、ボールを追いかけるのが楽しかったです。そしてチームの仲間とバッティングをすることもすごく楽しかったことを覚えています
柴村
ちなみに、高橋選手の投げ方(アンダースロー)に、ソフトボールの投げ方って少しは影響されていますか?
高橋選手
う～ん、どうなんだろう。でも体の使い方、アンダースローって横回転の動きなのですが、その動きを学んだのはソフトボールですね
柴村
ソフトボールの次に、野球を始められたのは何年生の頃ですか?
高橋選手
小学校5年生のときです。なつかしい…本当にキャッチボールをすることだけでも、楽しかったです
柴村
小学校時代、キャッチボールをしたとき、どんな思い出がありますか?
高橋選手
ソフトボールをやっていたときのことなのですが、チームで一番厳しくて、野球に熱くて、勝負ごとにこだわり、負けることが嫌いというコーチの方がいて、その方に僕が気に入っていただいたんです。その方から“キャッチボールをしよう”と声をかけて下さったとき、怖かったんですけど(笑)
柴村
たしかに緊張感が半端ないですね
高橋選手
でもしばらくして、その方に自分からキャッチボールをして下さいと言えるようになり、それから毎回、緊張感を持ちながらキャッチボールをした思い出があります
柴村
そういう幼い頃の経験が、少なからず、今の高橋選手の礎になっているかもしれませんね
高橋選手
まちがいなく、その経験は今でも大切な経験だったと思っています。プロになった今でも、キャッチボールって大切にしていますし、野球の基礎だと思っています
柴村
野球の基礎であるキャッチボールの次は、ピッチングフォームの理想について聞かせて下さい。理想とされるフォームは、どなたになりますか?
高橋選手
一番最初は渡辺俊介さんですね
柴村
元ロッテの、ミスターサブマリンと呼ばれた方ですね
高橋選手
そうです、ともかく渡辺俊介さんのフォーム映像を何度も見ました。動画も、あと連続写真も見て、どういう腕の使い方をしているんだろう? 足のうごきは? そしてグローブの使い方まで、とことん真似をしました。アンダースローって、投げている人も少ないので、誰かの真似をして覚えるしかないんです。だから渡辺俊介さん、そして牧田和久さんのモノマネを、とことんやりました
柴村
その牧田和久さんですが、今シーズンから楽天で投げらると思うのですが…同じパ・リーグとして、やはり負けたくないという思いはありますか?
高橋選手
それはもちろん、負けたくないです。やはり牧田さんの方が良いよね、とか言われたら悔しいです。牧田さんの方が良いという方もいると思いますが、それならば、そういう状況をこえることができるように自分自身が成長していかないと
柴村
お手本にされた方と、同じパ・リーグで戦えることは、ある意味で良い刺激になりそうですね
高橋選手
そうですね、牧田さんが楽天に入団されたと聞いて“よし、がんばろう”と思えましたし、自分にとってはプラスになったと思います
柴村
次の質問です。高橋選手が使われているグローブについて、こだわりなどを教えて下さい
高橋選手
フィールディングをしっかりしたいので、ボールを捕ってから直ぐにボールを握り、即、投げられるように。あと(グローブの)ポケットを大きく。それと僕はグローブに手を奥まで入れるので、手のひらの感覚に近いようにして欲しいなど、ミズノの担当に伝えさせていただいています
柴村
ここ(ウェブ、網)とかシンプルで良いですよね
高橋選手
このシンプルさが好きで、ここは昔から同じです
柴村
ちなみにアンダースローの投手だからこその、グローブの特徴はありますか?
高橋選手
僕の場合は、まず硬さに関して柔らか過ぎず、そして硬過ぎないようにしています。アンダースローは、グローブを大胆に大きく使うので操作性にも優れていた方がいいかなと…だから重過ぎるとダメなんです
柴村
だからと言って、とことん軽い方がいいわけでもないんですよね?
高橋選手
そうなんです、グローブの重さも利用した投げ方なので、平均的な重さは欲しいかなと。コンパクトで操作性に優れている、そういうこだわりを伝えて作ってもらっています
柴村
そんなこだわりのグローブを手入れをしながら“試合前に集中する”とかありますか?
高橋選手
やはり試合のとき、お客さんにも見られるのがグローブとスパイクなので、しっかりと手入れをしています。グローブはオイルを足したりして、そうしているとき、ついつい試合に向けて集中しているかもしれません
柴村
ちなみに試合後は、どうされていることが多いですか?
高橋選手
試合後は軽くトレーニングをしています。そのときに試合でのことを反省したり、そういう時間にもあてています
柴村
話しが前後しますが、高橋選手が試合前、必ずされていることって何ですか?
高橋選手
試合前…食事に関して言えば、必ず2時間前までに食事をするようにしています。うどんを半玉ぐらい、おにぎり、そして少しだけ肉を食べています。あとオレンジジュースを必ず飲んでいるかな。そして試合前のミーティングに出る、というのが基本的な流れですね
柴村
あとは、その日の体調などに合わせて、やるべきことを変えるということですよね
高橋選手
そうです。筋肉のはりがあるかの有無でも変わりますし、できるだけルーティーンは作らないようにしています
柴村
昨シーズンの高橋選手であれば、そんなことは少なかったと思いますが、ピッチングが思うようにいかなかったとき、どんなことをされていますか?
高橋選手
今まで野球をやってきた、投げてきた経験を踏まえて、まず考えますね。これまでのピッチングで調子が良かったときのことをメモしてあるので、それを見て、そのときのことを思い出したりします。あとは直面した問題と課題を、どうしたら解決できるか、その場その場に合わせて対応するようにしています
柴村
シーズン中、野球以外で、楽しみにされていることはありますか?
高橋選手
息抜きに、買い物かな。後輩を連れて買い物をすることが多いです。祝い事があれば、少し良いものを買って渡したりとか。僕も先輩に、そうしてもらってきたので
柴村
最後の質問です。今年はオリンピックイヤーでもあるので、是非とも選出されて欲しいと思っていますが
高橋選手
まずはチームシーズンを、やはり最優先にしたいです。その上で、もし呼んでもらえれば嬉しいです
柴村
シーズンとは、また違う緊張感と高揚感が、日本代表、更にオリンピックにはあるように思いますが
高橋選手
プレミア12を経験して、やはりあのような場所での活躍は重要だと思いました。そういう意味でも、もし選ばれたらベストは尽くしたいです
柴村
シリーズでの優勝、金メダル、そして日本一、たくさんのことを求めてしまい申し訳ないのですが…つい高橋選手なら何とかしてくれそうな気がして。もちろんプレッシャーや体力的にも大変だと思いますが…
高橋選手
必要としてもらえることは嬉しいことです。もちろん全てを求めることは簡単ではないです。だからこそ、取りにいきたいです。みなさんの応援も期待しています
