軟式野球チーム「中央シャインズ」

チームを強豪と呼ばれるまでに育て上げられた経緯を教えてください。

私は高校を卒業してほどなくしてこのチームに入ったんですが、当時は負けることの方が多い雑なチームでした。年配者が中心のチームと対戦する時も、勝てると思いながら負けたりしていました。このままのチームではいくら試合をしても、上には勝ち進んでいけないなあと思っていました。優勝を目指すにはどうしたらいいのかと真剣に考えるようになったのが、私が23、4歳ぐらいの時でした。精神論ではなく、具体的に一つひとつのプレーごとにどのように対処すればいいのかを周知させることにしたんです。そのためにミーティングを徹底しました。試合後だけでなく、1イニングごとに直前の場面を振り返って、あの時はこうしたけど、そうじゃなくてこうしたほうがいいといったことを根気強くアドバイスしつづけ、練習のメニューを変えて、あらゆるケースごとにベストな方法を選手全員が自然と考え行えるようにしていきました。どちらかというと、勝つ野球というより、負けない野球をしようと頑張ることを重視しました。

「中央シャインズ」の選手の皆さんはどのような意識で野球に取り組まれていますか。

うちの選手は野球経験者といっても、特別なエリートじゃないんです。“雑草軍団”なんですよ。雑草軍団には雑草軍団のやり方があり、自分たちに合ったやり方を決めて、自分たちの野球をすれば、チームとしてちゃんと成長していけるんです。それに、そうやって取り組んでいくと、みんな野球をすることがもっと楽しくなってくる。雑草軍団なんで、野球エリートのように変なプライドがない分、みんな一生懸命野球ができるのも、うちのチームの特徴です。たとえば、凡打でも1塁まで全力で走ると決めているんですが、エリートなら照れくさくてできないかもしれませんが、うちではみんなそれができるようになりました。私の方針をちゃんと理解してくれたんです。たとえピッチャーゴロでも全力疾走するんです。それによって相手がプレッシャーを感じたり、焦ったりしてチャンスが生まれることがありますからね。そういう考え方がチーム全体に浸透していって、“中央シャインズの野球”ができあがっていったと思います。そして、そうやって力をつけていった結果、サンスポ野球大会で優勝できるまでになりました。最初の優勝以降の10年間では、6,7回は決勝までいけて、優勝、準優勝を続けていました。

小林監督が目指す野球の方針について教えてください。

とりあえず1点取ろうという野球ですね。1チャンスは1点でいいという手堅い野球です。ランナーが1人出れば、みんなで進塁させ、みんなでホームへ返す、そういう意識を徹底させています。私が若い選手にいつも言うことがあります。野球は球技で唯一、ボールが得点なんじゃなく人間が得点になる。試合中に一番大事なのはランナーだから、そこに一番集中しないとだめだと。あと、日曜の野球で力を存分に発揮するために、平日の間に走り込んだり、バットを振ったりするようにも言ってますね。日曜日にみんなが集まる場では、ベテランが率先してやるべきことをやってるから、若手も自然とやるようになっています。1塁まで全力で走ることは恥ずかしいことではないと。逆に真剣に一生懸命やることがかっこいいいんだという考えが浸透しています。やはり、これまで結果が出ていますからね、30年近く試合に勝ってきたという。だから、今までやってきたことは間違いじゃないと、私もまったく迷いなくブレずに指導を続けていけます。

チーム存続についての課題などはありますか。

存続を危ぶむような大きな問題はありませんが、選手の世代交代の時期にチーム力が少し落ちることも経験しました。どのチームでもそうだと思いますが、いかにいいタイミングで新しいメンバーを確保してチーム力を維持するかが課題ですね。かつて複数のベテラン選手が引退して、それを補完するように若い選手が入ってきてくれたんですが、チームの方針があまり理解されてない時があったんです。フォア・ザ・チームじゃなくて、自分が打ちたいように打とうとするんですよね。そういうのが続くとやはり勝てないんです。ほかのチームからも、中央シャインズはもうだめだとか、もう優勝できないだろうと言われたりしました。このままでは、また昔のような勝てないままのチームに戻ってしまうと思い、私は選手ひとりひとりと話し合い、私の考えを理解してもらうようにしていったんです。結局は原点に戻るしかないと思ったからです。そして、中央シャインズの野球というものを若手の選手にも理解してもらうことができ、チーム力も上がっていきました。その結果、去年(2016年)、サンスポ野球大会で優勝できたんです。本来の自分たちの野球を取り戻して勝てたんですね。やっぱり、元々の考え方は間違ってなかったと確信しました。自分たちの野球を徹底するのがよかったんです。それを信じてついてきてくれた選手たちの姿勢も褒めてやりたいです。

監督としていいチームにしていくまとめ方を教えてください。

私の場合は、野球が大好きで、その情熱を素直にそのまま注いでいるという感じですね。ですから、万一の場合は自分も試合に出られるように、必ず選手と一緒にウォーミングアップやキャッチボールをしますね。自分が動けないのに人に動けとは言えない性分なんです。やる以上は一生懸命やりたいんです。勝負にこだわってますしね。そういう私の姿勢がチームの士気にもいい影響があればと思ってもいます。

小林監督にとって野球とはどんな存在ですか。

“Baseball is life(ベースボール・イズ・ライフ)”。私は常々そう言っています。野球は人生そのものという感じですね。野球があるから仕事を頑張ろうと思えるし、日曜日に楽しみな野球があるから平日の仕事でなにか辛いことがあっても頑張れるんです。日曜日が待ち遠しいんですね。おそらくメンバーみんながそんな気持ちだと思います。人生、野球があるから頑張れる、私はそう感じています。

余談ですが、今は息子もチームに加入しているので、親子で野球できる喜びもあります。

 

 

 


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