軟式野球チーム「四天王寺病院」

監督としてチームをまとめていくにあたっての心がけについて教えてください。

強いチームを作りたいという想いは当然どの監督さんにもあると思うんですが、私の場合、選手の“やる気”を重視しています。うちのチームには元々学生時代に本格的に野球に打ち込んできた実力のある選手が多いんですが、その能力を十分に発揮させるには、やっぱりやる気が大事なんですね。 やる気を出してもらうために、コミュニケーションを積極的にとるようにしています。私と選手たちもそうですし、選手同士でも、気持ちを率直に言い合える関係を作るようにしてるんです。チーム全体の絆が深まって、想いを一つにして野球に取り組んだら、“チームのために頑張ろう!”というやる気も湧いてくると思うんです。ですから、野球以外でも一緒に食事に行ったりすることもあります。監督になって15年経って57歳になった今では、親子ほど離れた選手も多いんですが、昔と変わらずコミュニケーションはとるようにしています。 思い返せば、私が就職してチームに入った当時も、コミュニケーションを重視するチームでした。私の気持ちを監督が理解してたかどうかわかりませんが(笑)。でも、そういう経験があったんで、私が監督になっても自然とそのスタイルを継承してるんだと思います。四天王寺病院野球部のいい伝統なんでしょうね。

監督として長年チームを率いてこられて、苦労されたことはありますか。

チームの存続に関わるような大きな問題は一度もありませんでしたが、チームをまとめていくために苦労したことはありますね。監督になった当初なんですが、私も選手と年齢が近かったこともあって、チーム内で意見の違いなどでもめた時に、真剣なだけに情熱がそのままあふれてまとものぶつかり合ったんです。そういう時は、そこからまとめていくのにかなり苦労しました。正直しんどくて、挫折しかかったこともありました。 でも、もめるというのは、悪いことではないんです。みんな真剣だからもめるんですね。どうでもよければもめないでしょ。ですから、もめてる時のほうが、みんな休まずに試合や練習に参加します。もめごとを解決していくのは大変ですが、監督としてはいい経験でもありました。そういう苦労を乗り越えたことを糧にして、次に活かせる訳ですから。今は経験も年齢も重ねましたし、日頃からしっかり話し合って、大きなもめごとにならないよう努めています。

西村監督の野球にかける想いを聞かせてください。

好きで野球をやっているので、試合をすること自体が楽しいのは事実ですが、負けたら楽しいとは思わないですよね、やっぱり勝負ごとなんで。特にうちのチームは、勝ちたいという想いが強いほうだと思います。それも昔からの伝統かもしれません。 1月の最初の日曜と12月の最後の日曜以外の日曜はすべて野球です。1年を通して開催される軟式野球連盟主催の大会と春秋2回のサンスポ野球大会に出場して、天候にもよりますが、年間70試合~80試合をこなしますね。平日に仕事に行くのと同じように、日曜は野球に取り組んでるみたいな感じです。 そんなペースで長年野球をやってますから、引退すると私自身かなり寂しくなると思います。いずれはバトンタッチしないとけないので、その時までいいチームのまま存続させたいですね。今は自分が野球を楽しみたいという気持ち以上に、四天王寺病院野球部に対する想いが強いです。愛着もありますし、うまく存続させることはもちろん、できればもっともっと盛り上げていきたいですね。ともに野球に取り組んできたことで生まれた人と人とのつながりというのは、ほんとにいいものですし、それを与えてくれたチームへの恩返しの気持ちもあります。

西村監督が現在のチームに入ったきっかけを教えてください。

四天王寺病院の場合、事務員として就職した男性は全員が野球部に入るのが当たり前だったんです。もちろん規則として決められていた訳ではありませんが、就職すると同時に入部するという空気でしたね。私は元々野球が好きだったし、学生時代も経験していたので、喜んで野球部に入りました。当時は今以上に野球部の取り組みが熱心だったのを覚えています。1時間の昼休みですが、10分で昼食を済ませて、そのあと練習するんですから。みんなほんとに野球が好きだったんだなあと、今振り返っても感心します。


西村監督自身が、初めに野球に興味を持たれたきっかけを教えてください。

父親が野球好きだったことが大きいですね。もの心がついた頃から、おもちゃのバットとボールで父親とよく遊んでいました。少し大きくなると、キャッチボールもしたり。テレビの野球中継もよく観ていましたし、たまに球場へ連れて行ってもらうのも楽しみでしたね。 当時は巨人のV9時代で、ほんとに巨人は強かったですね。父親は大洋ホエールズ、現在の横浜DeNAベイスターズのファンでした。あの頃は巨人が1位で阪神が2位、大洋が3位の場合が多かったんですが、巨人は阪神に強かった反面、大洋とは五分五分ぐらいだったんです。チーム同士の相性ってあるんですね。順位が上のチームが対戦成績で勝るとは限らない。そこも野球のおもしろいところだと思います。チームごとに個性があって、それを発揮できるかどうかで勝敗の行方が分かれるので、どの試合を観ていてもおもしろいんですね。

 

 


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