野球って“僕の中の人生の道”だって言えます:福留孝介

ソフトボールから始めるようになりました…きっかけはアイスクリームなんです。(笑)

1999年、中日ドラゴンズに入団。メジャーでの活躍後、2013年に阪神タイガースへ。いまだ冷めない野球への熱い思い、そして13年ぶりの優勝を掲げるチームキャプテン・福留選手にお話を聞かせていただきました。

●野球を始めたきっかけは何ですか?

最初はソフトボールから始めたんですよ。出身は鹿児島なんですけど、育った場所がすごい田舎町で、今は、どうなんだろう?! 僕が幼い頃は、お父さんたちが集まって、町内会の皆さんでチームを作り、ソフトボールの試合をやっていたんです。お父さんたちが練習をするのは夕方~夜にかけてなんですけど、そう、仕事が終わってから始めるんです。そうすると、その練習へボール拾いに行くと、練習終わりにアイスクリームを食べさせてくれたんですよ(笑)。 どうしても、そのアイスクリームが欲しくて、グラウンドへ行っていましたね。それで、必然的にソフトボールから始めるようになりました…きっかけはアイスクリームなんです。(笑)

●野球人生において、最も影響を受けた人や、プロを目指すきっかけになった方について教えて下さい

それは中日(ドラゴンズ)にいらした立浪さんですね。高校もPL学園(立浪選手もPL学園 OB)を選ぶ理由にもなりましたし、同じ学校でプレーしてみたいっていう思いをもったのが、立浪さんでした。とても大きな甲子園で、小柄な体格の立浪さんがホームランを打っているのをみて“野球で重要なのは体格だけじゃない”と思いましたよ。

●立浪さんの思い出は、甲子園の他にもありますか?

今は中日のプロ野球の春季キャンプはほとんどの場合、沖縄へ行っていますけど、昔は鹿児島の僕の田舎の隣町“串間(宮崎県・最南端)”でキャンプをしていたんです。ほぼ毎日、見に行ってました。見に行ったとき、立浪さんがちょうど高校から入られた年で、ものすごい練習をされていて、体格も大きくないのに、一生懸命で、大きな選手たちと一緒に練習をされて、すごい存在感をはなっているな。というのが、僕から見たら感動であり、いろいろな影響を受けました。ある日、立浪さんにサインボールをもらったんですよ。サインボールや手袋とかもらって…なんか僕、物をもらった人を好きになってしまうところもあって(笑)。でも、この影響は本当に大きかったですね。

●キャンプを見に行く頃には、アイスクリームよりも野球が好きになっていたんですね

そうですね(笑)。キャンプを見に行く頃には、野球やソフトボールに対しての興味は相当ありました。週末、キャンプを家族で見に行くわけです。そして1日中、キャンプ場にいるんですが、キャンプ場って、必ず美味しい食べ物の出店がたくさんあるんですよ、そうすると…出店も楽しみになり(笑)。アイスが出店にかわっただけって思わないでよ(笑)。でも真面目な話、この頃のことが、今の自分のベースの1つになっているのは確かですね。

●お子様とキャッチボールをすることはありますか?

う~ん、ほとんどないですね。“僕が野球をやっているから、お前もやれよ”っていうのは、どうにも嫌で、本人がやりたいことをやらせてあげたい。というのが、すごくあります。子供が、僕の試合をしている姿を見たりして“僕も野球をやりたい”って言うのであれば“やりなさい、好きにしなさい”って言いますけどね。それでも一応、グローブだとか、なんだかんだと持っていますけど。何回か、公園でキャッチボールをした思い出はありますけど…でも2~3球キャッチボールをしたらもう飽きていました。

●お子様のグローブは福留選手が選んで買われたのでしょうか?

幸いなことに、ミズノさんと契約をさせていただいているので、ミズノさんに連絡をして“こういう形で”って作ってもらいました。家に持って帰って“これ、お前のだよ”って渡したら“わぁ、やったぁ!”って。でも、言った5分後にはアニメを見ていましたね(笑)。でも喜んでくれたみたいです。

●福留選手にとって、野球とは何でしょうか?

う~ん、なんですかね(笑)。自分の…人生みたいなもんですよ。これがなかったら、僕はどこで何しているかわからないですし、自分が野球をやっていることによって、ずっとここまでこれていますから…。野球をやっていなければ、これだけのみなさんに、見られることもないし、取材を受けることもないです…そう考えれば、野球って“僕の中の人生の道”だって言えます。