埼玉西武ライオンズ 栗山巧 選手

西武一筋18年、2012年から5年間キャプテンを務め、今やチーム内だけでなく球界にも影響力のある栗山選手。大阪ノリで明るくユーモラスに溢れている一面、それとは真逆の野球に向き合う真剣な姿勢が素敵だ。そんな栗山選手のパーソナルな真面目なお話し…ときどき笑いありの取材を実施。

【球活女子アンバサダー(以下、球活)】

「こんにちは、栗山選手。まず私的なことですが…昨年、私たち、埼玉西武ライオンズのウーマンフェスタ(※参照1)などで、色々と関わらせて頂きました。以前から野球は観戦していましたが、昨年はメットライフドームで、何度もステキな試合を観ていました」

【栗山巧選手】

「あっ、そうか…ウーマンフェスタのとき、ベンチ裏で挨拶したよね」

※参照1「ウーマンフェスタとは女性が主役のイベント。この場合、埼玉西武ライオンズが実施したイベントに塩見さんが参加[https://sp.seibulions.jp/event/womanfesta/]」

【球活】

「はい、その節はお世話になりました。それで昨年、いろいろな試合を観戦して一番感動したのが、マジックを点灯させた9月17日のソフトバンク戦、センターバックスクリーンへの第7号・満塁ホームラン、本当に鳥肌が立ちました。08年の優勝を知る同期の中村選手との、お立ち台もステキでした」

【栗山選手】

「確かに、あの試合は自分の中でも思い出深い試合です」

【球活】

「早速の質問ですが、栗山選手は打席に入るとき“余計なことを考えない”ということを聞いたことがありますが…」

【栗山選手】

「集中する、というよりも…打席に入ると、どうしても色々なことを考えてしまうんです。だから、余計なことを省く、更に省く、それを突き詰めていくと余計なことを考えない、そういう状態ができるというイメージですね」

【球活】

「“集中する力”というと、昨年はチーム全体も“ここは何とかしないと”という場面での集中力がすごかったですね」

【栗山選手】

「確かに…打たないと、守らないと、そんな“ここぞ”の場面での集中力は、試合ごとに進化していたと思います」

【球活】

「栗山選手の、少年時代のお話しを聞かせて下さい。栗山選手が“初めて野球をした”ときの思い出は?」

【栗山選手】

「小学校のとき、地元・神戸の少年団リーグに入って野球を始めました。ともかく、野球が楽しくて仕方なかった、そんな記憶がありますね」

【球活】

「ご家族とキャッチボールをされたりしていましたか?」

【栗山選手】

「幼稚園のとき、父親と土日だったかな、よくキャッチボールをしてもらっていました。父親が暇そうにしていたら“キャッチボールして”と、お願いをしては…夕方頃が多かったのかな」

【球活】

「お父様とのキャッチボールで、何か会話をされたことなど…覚えていることがあれば」

【栗山選手】

「う~ん、よく“胸にめがけて投げろ”って言われていました。野球に詳しい親ではなかったのですが、このことだけは何度も注意されたのを思い出しました」

【球活】

「お父様とのキャッチボール、そして小学校1年から地元の少年団リーグへ、それが栗山選手の野球ヒストリーの最初ですね」

【栗山選手】

「そうですね。あの頃…たしか小学校5年の頃かな、イチロー選手を見て“この選手は別格すぎる”という凄いインパクトを受けて、野球って本当に凄いと思うようにもなりました」

【球活】

「お話しを聞いているだけで、幼稚園~小学校時代の栗山少年は野球が大好きで、毎日、純粋に元気に野球にうちこんでいたことが、想像できます」

【栗山選手】

「おっしゃる通り。あの頃のことを久しぶりに思い出し始めましたよ。そうそう、毎週土日に野球をしていたのですが、土日がくるのが待ち遠しかった。少しずつでも、野球が上達と言うか、好きになっていくのがわかって…」

【球活】

「栗山選手のお話しを聞いていると、今でも野球が大好きなんだ! というのが伝わってきます」

【栗山選手】

「そうだね、小学校の頃と、そういう気持ちはあまり変わっていないかもね」

【球活】

「そんな栗山選手も、今や球界を代表する選手のお一人ですが…言える範囲でいいのですが、栗山選手ご自身が自分に課している“これだけは必ず毎日する”という練習であったり、練習量について教えて下さい」

【栗山選手】

「う~ん、ないかな。ともかく、その時々で練習内容や練習量は変えているので。必ず、毎日していることがあるとしたら、必ずバットを手にするってことぐらいかな」

【球活】

「栗山選手が中学生のとき、練習をすごくしていて、手のひらのマメの上に、更にマメを作るほど練習を…という記事を読んだことがあったのですが」

【栗山選手】

「学生のとき、ともかく練習さえ楽しかったので、マメが痛いとかそういうのはなかったですね。プロに入ってからはバランスよく練習をして、試合に向けてベストな状態を作るようにしています」

【球活】

「次の質問です。グローブ、もしくはバットの手入れをしながら“試合後に反省する”とか、ありますか?」

【栗山選手】

「あります! 手入れをそこまでしっかりする、というよりも片づけをしながら“今日は、あそこで上手にできたな”とか、“あそこは、こうするべきだったのかな”など反省と言うか、同じミスを繰り返さないためにも、そういうことを考えるようにしています」

【球活】

「バッティングが好調のとき、その好調さを維持するためにすることは?」

【栗山選手】

「お祈り(笑)、いや本当にバッティングの場合、毎試合、相手の投手って変わりますし、同じ投手でも日によって変わるので、いろいろと難しいんですよ。バッティングの調子が良いときほど、それを維持させる、これは相当、難しい。だから打撃が好調なときほど“明日も打てますように”と祈っています(笑)。真面目な話し、余計なことを考えてしまうよりも、その方がいいと思いますし」

【球活】

「逆に、バッティングが不調のとき、何をされますか?」

【栗山選手】

「そういうときは無理にでも流れを変えたいので、例えば球場へ向かう道を変えるとか、不調だったときのシャツなどは着ないようにするなど…ゲン担ぎとまではいかないのですが、できる限りの思いつく“流れを変えるため”のことはしますよ」

【球活】

「練習をしない、という選択もあるのでしょうか?」

【栗山選手】

「不調のとき、無理に練習をしても、どうにもならない…そんなときもあるので。でも、どうしても練習をしなくてはないらないシーンのときは、嫌でも練習はしますよ(笑)」

【球活】

「シーズン中、野球以外で楽しみにされていることは?」

【栗山選手】

「ないんです…何か趣味とかつくらなくては、と考えているのですが」

【球活】

「極端な言い方をすれば“常に野球が全て”と言う感じですか?」

【栗山選手】

「そうなんです。まぁ、例えば遠征など移動の車内で本を読むとかはありますけど…休日も、普通に家族と過ごしていますし(笑)」

【球活】

「プロの選手として高いパフォーマンスを実現させるため“されていること”や“買われたもの”などについて教えてください」

【栗山選手】

「まぁ、ここだけの話し…最近、世間でいう“健康器具”と呼ばれるものは、よく買っていますね」

【球活】

「美容系ではなく!?(笑)」

【栗山選手】

「それも興味はあるけど(笑)。いや、電気を流してマッサージとか、空気圧でリラックスなど、そういう一般的な健康器具を最近、気になると買っていますね。新しいのが出ると“これ、いいのかな?”と言いながら、気づいたら買っています(笑)」

【球活】

「栗山選手の場合、健康器具を買いながらリラックスしているのかもしれませんし、ある意味で、健康器具を買うということが、趣味っぽく見えますが(笑)」

【栗山選手】

「わかりました、今度から趣味欄に“健康器具の購入”としてもらいますよ(笑)」

【球活】

「買うで言いますと、私たち野球ファン、選手のファンの方々は、関連グッズを買うのも楽しみです。栗山選手は、こういうオリジナルグッズがあればいいなぁ~というものがあれば、教えて頂けますか!?」

【栗山選手】

「えっ!? 何がいいんだろう? 例えば、実用的なモノの方がいいですよね。球場では応援フラッグ、それ以外の使い方として…」

【球活】

「風呂敷とか?」

【栗山選手】

「そうそう、そういう感じです。そういうのを考えて欲しいな」

【球活】

「さて次の質問…と言いますか、個人的なことで恐縮ですが、先日、私…20歳になりまして…栗山選手が20歳のときに実感したことなどありますか?」

【栗山選手】

「おめでとう! 二十歳か、自分が当時のことを振り返ると、ともかく早く1軍へあがりたい、その思いで必死でした」

【球活】

「確か2001年のドラフト会議で西武さんからの指名があったので、そのとき栗山選手は19歳でしたよね」

【栗山選手】

「そうなんです、だから10代が終わるという思いと、20歳になるのだから早く1軍で活躍できるようにならないと、そんな思いで必死でした」

【球活】

「20歳になったばかりの栗山青年!? に、今の栗山選手が声をかけてあげるとしたら…」

【栗山選手】

「そのまま、ガンバレ! かな。いや、もう少しだけガンバレだな(笑)」

【球活】

「今、球活でお子さんたちと一緒に野球をする機会があるのですが、そのとき野球初心者でも、上手に”打てる”コツを聞かれたりするのですが…何かポイントなど教えて頂ければ」

【栗山選手】

「上手に打てるコツ!? それは自分も知りたいです(笑)。でもバッティングって何が一番、難しいと思いますか?」

【球活】

「私はバッティングセンターなどへ行くと、タイミングを合わせるのに苦労しています」

【栗山選手】

「それはプロも同じで、実際、タイミングのとり方が一番のポイントだと思います。自分の見える範囲で、自分の前の地点で、いかにボールとバットをタイミングよく合わせるかだと思いますよ」

【球活】

「実は私、ティーバッティングも苦手で…ボールに当たらないことがあって…。お子さんたちも、難しそうにしているときがあるんです」

【栗山選手】

「あれは見た目以上に、実は難しいんです。プロでも、まともにボールの芯にバットを、コンスタントに当てているって、なかなかいないですよ。自分も入団当初、連続でティーバッティングをするってことをやっていましたが、大変でした」

【球活】

「コツというか、ポイントみたいなものってあるのでしょうか?」

【栗山選手】

「もしコツがあるなら、力まないこと。野球教室みたいなイベントで、子供たちのバッティングを見るんですけど、緊張したりすると、普段は凄いバッティングができる少年野球の子供が、空振りしていますから。まずは深呼吸して、リラックス。プロでも難しいことだから、初心者のお子さんたち、ボールにバットが当たらなくても大丈夫! ともかく楽しんでください、そして続けていって下さいね」

【球活】

「私たちも野球の普及のため、もっと頑張ります」

【栗山選手】

「また1年後、今日、話せなかったこととか取材して下さいよ。楽しみにしています」


【PLAYER’S PROFILE】

埼玉西武ライオンズ

栗山 巧(くりやま たくみ)
背番号1/外野手

1983年9月3日生まれ。
身長177cm、体重85kg、兵庫県出身。
右投/左打。
育英高⇒西武(2002年ドラフト4巡目)


取材)球活女子アンバサダーメンバー各位(引田望月、梨子本朱里、鳥海佐和子、薮田彩、時田貴美枝、塩見珠希)
撮影)野球・ソフトボール活性化委員会