「 野 球 は、未 来 !」

kyukatsu LEGEND 松井 秀喜

巨人やヤンキースなどで活躍した松井秀喜さん(ヤンキースGM付特別アドバイザー)による野球教室が、2017年6月25日に川崎市のジャイアンツ球場で開催されました。日本では3度目。今回は全国から集まった49組の小学生と保護者を対象にした初の親子教室でした。当日はあいにくの雨でしたが、室内でジョギング、アップ、キャッチボールを行い、親子ティーや親子ノック、松井さんが打撃投手を務めた打撃練習をしました。キャッチボールや打撃練習では松井さんからアドバイスされる場面もありました。そして、ティーボール・ゲームを行い、雨のあがったグラウンドでフリー打撃を披露。子どもたちから大きな歓声が上がりました。


アメリカでも野球教室をやられていますが、日本との違いを感じますか?

日本とアメリカでは、野球ができる環境が違います。アメリカは多くの広場でキャッチボールや野球ができますし、少年野球であっても芝生がきれいに整備された立派な球場でやっているんです。大都市ニューヨークでも、郊外に行けばそうした球場がたくさんあって、野球をする環境としては、やはり恵まれていると感じます。
日本はどうかというと、もちろん地域によって違いますけど、アメリカと比較すると公園や広場があっても気軽に野球ができる環境にあるとは言えません。今日のように、安全面に考慮された屋内の施設がもっとあれば、気軽に野球をする人が、もっと増えると思います。


  


松井さんは子どもの頃、どんな環境で野球を始めたのですか?

地元の野球クラブに入り、本格的に野球を始めたのは小学校5年生で、それまでは、自宅の近くの田んぼや広場でキャッチボールをしたり、遊び感覚で毎日野球を楽しんでいました。
野球を始めるきっかけは何でもいいと思います。プロ野球中継を観て自分もやりたいと思う人がいれば、高校野球を観て自分も甲子園に出たいと思ったり。お父さんとキャッチボールをして、楽しくなって、もっとやりたいなど、何でもいいと思います。いきなり野球クラブに入るのはハードルが高いし、入るまでの助走期間も必要です。子どもが興味を持ちそうなものを意図的に準備してあげればもっと野球をやってくれる子どもが増えるかもしれません。


  


球活.jpでは「野球場へ行こう!」キャンペーンを行なっています。

球場でプロ野球を観戦するのはすごく大切なことだと思います。プロ野球選手が活躍する球場は、子どもにとっても非日常の世界ですよね。そこで野球選手に会って憧れを抱いたり、球の速さに驚いたり、ホームランなんかを目の当たりにするとすごい刺激を受ける。野球をやりたいという気持ちを持たせるという意味では、野球場で観戦することは非常に大切な経験です。
こう説明すると敷居が高そうに思われますが、堅苦しい感じはまったくありませんから、まずは球場に行ってみて、その空間を楽しめばいいだけ。お父さんはビールでも飲んで、子どもは野球を見ないで走り回っていてもいいんです。集中して試合ばかりを観る必要はありません。


  


野球の楽しさはどんなところにあると思いますか?

上手くできるようになると楽しいですよね。ボールを打てたり、捕れたりと、練習すればどんどん上手くなる。上手くなれば楽しいのですが、野球を続けていくと、どこかの段階で“壁”にあたる。けれども、「野球が好き」という気持ちがあれば、壁は突き破れます。つまり、この「野球が好き」というのがすべての原点であり、最も大切なポイントです。野球への興味が続くように環境づくりも大切です。近くの広場で野球がやれる環境があればいいのですが、こればかりは自分たちだけは解決できない問題ですね。


  


今後、松井さんの“球活”はどのように続けていきますか?

子どもの人口が減っているので、当然、野球人口もそれに比例して減少することはあるのでしょうけれども、そうした中でも野球というスポーツをもっと盛り上げなければならないと考えると、少しでも多くの子どもたちに野球に興味を持ってほしいし、「やりたい!」と思ってもらう必要があります。今日のようにティーボールのゲームをやってみて、みんな気持ちが前のめりになって、楽しんでくれたのはとてもいいことです。あのような気持ちをもっともっと多くの子どもから引き出したいと思います。
私自身はまだ評価されるほど、活動を重ねていませんが、子どもたちが私という人間とふれ合うことで刺激になって、新たなエネルギーみたいなものを持ってくれたらいいなと思います。ほんの一部の子どもたちとふれ合っただけなので、これからは機会を増やして、どんどんやっていきたいです。


  


松井さんにとって野球とは?

いちばん好きなものです。好きだから上手くなりたいと思って情熱を注いできたし、練習も苦にならず、逆境にも耐えられました。それに、野球の素晴らしさは“チームスポーツ”であることです。野球には、チームが一丸となって勝利する喜びがあるし、それを含めて自分にとって野球は最も好きなもの。好きだからこそ熱中できるし、逆境にも耐えられます。この「野球が好き」を原点に、世界中の方々に野球のすばらしさ、魅力を伝えていきたいと思っています。


  




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