翔太さん・未来さん

大勢の観客に交じって席に着くと、未来さんが「なんだかワクワクするよね、この雰囲気」と言って、グラウンドや客席を見回したり、大きな天井を見上げたりした。 「でしょ。現場に来ると、それだけで気分が盛り上がるんだよね」と翔太さんが満足げに応える。
会社の上司に勧められ、「オリックス・バファローズvs楽天ゴールデンイーグルス」の開幕戦に、彼女を誘ってはみたものの、喜んでもらえるかどうか不安だった翔太さん。
未来さんは、とりたてて野球に興味があるタイプではなかったからだ。 でも、試合前の球場の、まさに現場ならではの雰囲気に感動してくれて、まずはつかみはOKというところか。
そんなふたりの期待感をさらに盛り上げるように試合前セレモニーが始まる。
アナウンサーの掛け声とともに花火が上がり、音と光の演出が観客を魅了する。


思わず笑顔になる未来さんに、翔太さんも笑顔を返す。
「やっぱり開幕戦って違うんだね」。これまで未来さんは、会社関係の人に誘われて野球観戦をしたことはあったが、今回のような体験は初めてだった。 試合開始。「やっぱりすごいね、プロは」と未来さんがつぶやく。
「何が?」と翔太さん。 「あんなに距離があるのに、軽々とボールを投げるんだもん。打球もすごい」。 「やっぱり迫力あるでしょ、こうして間近で観戦すると」と言いつつ、顔がほころぶ翔太さん。 ゲーム序盤、タイミングを見て、食べ物を買いに席を立つ。数ある売店の中から、 選手プロデュースのグルメを選び、ビールも注文。
レジャー感覚で飲み食いしながら、野球を観戦する。これこそ球場の醍醐味と語る翔太さん。


未来さんもなんだか楽しそう。「やっぱり女性は美味しいものがないと」と笑う。 また、せっかくこの球場に来たんだからと、翔太さんが未来さんを連れて球場内を案内。
通路の各所にはモニターがあって、試合状況もばっちり観られる。
球団の歴史を紹介する「BsSQUARE」では、年表をバックに記念撮影し、イチロー選手のユニフォームも写真におさめた。
ひと通り散策した後、席に戻って観戦再開。 7回裏、オリックスの攻撃の前には、球場全体が一体となる恒例の風船飛ばし。
ふたりもあらかじめ買っていたブルーの風船をふくらませ、観客一斉で飛ばす。
「すごーい! きれい!」と感動しきりの未来さん。


試合は同点のまま延長になり、残念ながらオリックスは敗れてしまったが、試合展開に盛り上がり、いつものデートとは違う興奮を共有できた。
これは、普段の食事デートとは全然違う点だと、ふたりが声を揃える。
会話が途切れても、目の前で起こる試合展開をネタにまた会話が弾むのがいいそうだ。 翔太さんはヤクルトファンで、これまでは神宮球場には年に5〜6回行っていたほど。 花火があがったりする屋外球場の方が好きだそうだが、普通に野球観戦はしたい。 「できれば彼女と一緒に行ければベストで、次は神宮で球場デートをしてみたい」と言う。
未来さんはというと、「翔太さんが野球好きじゃなかったら、球場に来ることもなかったと思う。 でも、今回連れて来てもらってよかった」と笑い、さらに「甲子園でなら高校野球も観てみたい」とも。


未来さんの言葉を聞いて、翔太さんは今回手応えを実感したようで、満足げな表情。 ふたりにとって、球場がデートコースの一つになったことは間違いなさそうだ。 気を良くした翔太さん、「次は甲子園球場で阪神vsヤクルト戦をふたりで観たい」と未来さんに告げた。

さて、このふたり、次はどこの球場でデートをしてくれるのだろうか。

翔太さん、未来さん、貴重なデートなのに、取材に協力してくれて、 ありがとうございました。


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